私は2004年4月に文化学部教授として京都産業大学に着任しました。(2017年現代社会学部新設と同時に現代社会学部に移籍)それまで大阪の女子大で22年間にわたって主に小学校教員を目指す学生の指導にあたってきました。本学では中・高の教員を目指す学生、それも社会科から理科・数学といった理系教科まで幅広い領域の学生を指導するという事で戸惑いも感じましたが、それ以上の手応え、遣り甲斐も着任早々感じたことを記憶しています。
私は教育制度学を研究する過程で、小中一貫教育の重要性を主張し、多くの自治体とも協力しその実現に尽力してきました。本学においても、私は着任早々本学で中学校の1種免許を取得する事を条件に佛教大学の通信教育課程を履修し、卒業時には小学校教員免許も取得する事を可能にしました。小・中・高の免許を有し、小学校教員として英語や数学の楽しさを小学生に伝えている卒業生も数多くいる事は私の大きな喜びです。加えて、私が着任した当時、本学では大学での教育と社会の様々な活動とを結びつけ実践的な学びを創造するOn Off Campus Fusion (O/ocf) の取り組みが進められており、私もO/ocf教職クラスを担当しました。全学部から教職希望が明確な学生を集め2年次から卒業まで教職に特化した指導を行うゼミでした。学部も免許種別も異なり、多いときは20名を越える学生たちと3年間学び合うゼミは苦労もありましたが、互いに学び合える機会も多く、大変充実したゼミでした。中でも2007年には2学年合同で韓国に出向き、大邱教育大学の学生と交流し、当時非常に先進的であった「英語村」を視察できたことは強く記憶に残っています。
今日では、教職が「過酷」な職業であるという風聞?が社会に広まり、教職希望者が激減しています。しかし、現在教員として活躍し同窓会に集まってくれる卒業生からは、勿論その「大変さ」は語られますが、同時に「遣り甲斐」「楽しさ」もしっかり伝わってくるので嬉しく思っています。
文化学部でもゼミを担当しました。文化学部のゼミ生の中にも勿論教職希望者もいましたが、一般企業、公務員等を目指す学生も多く、指導する側も学校だけではない幅広い見識が求められ、それはそれで私にとって大きな財産となりました。神山祭にも何度か参加し、学生生活の楽しさを共有できたことも私の大きな喜びのひとつです。
2017年からは現代社会学部の教員として、主に地域再生と学校をテーマに研究と学生指導を進めてきました。現代社会学部での取り組みは総括するにはまだ少し時間がかかりそうですが、学生諸君のはつらつさは記しておきたいと思います。
京都産業大学での21年間、本当に楽しかったです。学生諸君を始め皆様に心から感謝申し上げます。