京都産業大学同窓会

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学部別

グローバル人材育成のために

(※2023年9月発行の同窓会報の内容を転載しています)
鈴井 清巳 教授
国際関係学部教授 国際経済論、EU通商政策論

 2008年に新たに設置された外国語学部国際関係学科の教員として採用されて、早や16年目となった。前任校では商学部で7年間「世界経済事情」を主担当科目として教えていたが、国際系の学部・学科で教育・研究にあたり、グローバル化の時代に対応できる人材を育てたいという気持ちと、研究環境の面から関西圏か首都圏に活動拠点を移したいという気持ちが強まり、本学の教員公募に応募したところ、運よく採用して頂けた。そしてこの15年間に、国際関係学科は国際関係学部になり、2,000名近い国際関係学士を育ててきた。この間、ずっと「グローバル人材育成に寄与できたのだろうか」と自問してきた。

 本学にきて、ゼミ生は通算で250名ほどになった。これまでのゼミ卒業生の名簿は大切に保管しており、就職先も転職の知らせがあればできる限り更新している。そのおかげで、現役のゼミ生の就活の際にOG・OB訪問をお願いでき、先輩も親身になって後輩にアドバイスをしてくれて、大変感謝している。また近年のゼミLINEのおかげで、就職後の様子もボチボチと届き、「京都に出張で来ましたので、ご飯でもご一緒しませんか」というお誘いや、ゼミで久々に集まろうという知らせもくる。ありがたいことなので、原則出かけることにしている。また結婚式に招待されたのも、これまで9名、今後2名の予定である。式場でOG・OBの晴れ姿を見るのは嬉しいものである。ゼミ内では、2組のカップルがゴールインしており、お目出度い事この上ない。またゼミ出身者で本学職員になった学生も3名おり、同僚として色々と教えてもらいながら本学のために一緒に仕事できるのも大きな喜びである。ゼミでの付き合いは2年間だが、ゼミ生達は卒業後の方が遥かに長く活躍する。むしろ人生の大半は卒業後だ。果たして在学中に撒いたグローバルの種は、大きく育ったのだろうか。見たいものだ。卒業後にOG・OBに会う楽しみの一つはそこにある。そして、会って話してみて、実は卒業後の社会経験こそが、グローバル人材として育ててくれたことを知る。教員は学生たちがグローバル人材となるための種を撒き、苗木を育てるまでだが、その後の肥料や水は、試練と共に社会が豊富に施してくれるのだ。

 コロナ以前は、毎年夏季休暇中、ゼミ合宿をやってきた。最初は3回生、4回生と別々にやっていたのだが、外国語学部長、国際関係学部長の時代、仕事が段々と忙しくなったので、2学年合同でやるようになったが、これが良かった。2泊3日で、1日目に4回生全員が完成度の高い卒論報告を行う、するとそれを聞いた3回生は、ビビッて夜を徹して2日目の報告の準備をする。また1日目の夜には、4回生による3回生への就活指導を志望業界別に分けて行う。内定を得て間もない4回生のリアルなアドバイスは、3回生にとっては随分と役に立ち、刺激になるようである。2日目に3回生の報告を終了して、BBQなどで解放感に浸り、3日目の帰りはどこかの観光地を見学して帰る、というのが例年のパターンだ。やはり「同じ釜の飯を食う」のは大切だ。学生間の縦横の交流は深まるし、教員にとっても、教室では知る事のできない学生の様々な言動に接したり、悩み相談にのったりして、その後の学習・進路指導に大いに役立つのである。この丸3年間のコロナ禍において合宿はできず、代替策として大教室で2日間合同研究発表会を行ってきたが、今後は、コロナの残滓に気を付けつつ合宿を復活させ、また食事会や飲み会で交流の機会を増やしていきたい。それがグローバル人材育成の一助となると信じて。

夏季3・4年ゼミ合同研究発表会(2022年9月)にて。鈴井の「S」、本人だけ上手くできていない。