京都産業大学同窓会

恩師随想

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学部別

学生から学んだこと

(※2022年9月発行の同窓会報の内容を転載しています)
並松 信久 教授
経済学部教授 農業経済学

 卒業生の皆さん、お元気ですか。ここ2年半はコロナ禍の影響で、たいへんな思いをされている方がおられるかもしれません。でも「明けない夜はない」ので頑張って下さい。私は令和5年3月末で定年退職を迎えます。京都産業大学の在職は約37年間でした。その間、喜怒哀楽のあった大学生活でしたが、学生諸君から多くのことを学びました。たとえば、ゼミで夏に沖縄で合宿をした時のことです。沖縄では昼間は羽を伸ばし、夜に勉強ポイことをしました。ある学生が夜間に高速道路を移動中、山肌が光っているのをみて、「先生、あれ何?」と尋ねたことがありました。私は「あれは電照菊をつくっているはずや」と自信ありげに答えました。しかし、帰ってから調べ、沖縄県では菊栽培が盛んなことを知りました。その後、ゼミでフラワー(関連)産業を主要な研究テーマとして取り上げたこともあり、改めて学生の目線や何気ない質問が大切であることに気付かされました。

 また、ゼミの卒業生の生き方からも教えられました。広島県出身のK君は、バブル崩壊直前に卒業したので、就職状況は比較的良好で、K君も大手企業に就職しました。しかしバブル崩壊後、K君は出向を余儀なくされ、その6~7年後、出向先から独立し、東京で起業しました。起業だけでも京都産業大学の精神を発揮したと言えますが、K君の本領発揮はそこからです。K君のお母さんは広島県の実家で一人暮らし、平日は施設で過ごし、週末は実家に戻られます。そこでK君は毎週、東京と広島を往復し、週末をお母さんと過ごすという生活を送っています。そして帰京の際(月曜日)に途中下車し、神戸のK大学の大学院で講義を受けていました。研究内容は、産地直送と地域おこしです。K君は会社の近くで社員食堂を兼ねたカフェレストランを2軒経営し、そこで扱う食材を広島県から直送しています。この産地直送が地域おこしに役立つのか調査したいというのが研究のきっかけです。K君は青年の就職や起業、介護、中高年の学び直し、地域おこし、そして農林水産業をはじめとする地域の産業など、現代日本が抱える問題に立ち向かっています。実行のともなわない私は、ただ恥じ入るばかりです。

沖縄でのゼミ合宿

 私は多くの学生から多くのことを学びました。この場を借りて御礼を申し上げたいと思います。定年後も何かと挑戦を続けていきたいと思っています。またどこかで見かけたら、声でもかけて下さい。さようなら。