京都産業大学同窓会

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学部別

「13年間の思い出」

(※2022年9月発行の同窓会報の内容を転載しています)
芝田 文男 教授
法学部教授 社会保障・雇用政策・地域振興政策

 2009年に法政策学科ができた年からお世話になって13年間たち22年3月に定年を迎えました。厚生労働省に長く勤めたので、本学では社会保障・雇用政策の科目の他、法政策基礎リサーチ、フィールドリサーチ、公務公共政策、ゼミなど、社会保障・雇用政策・地域振興等の課題について、時に現場の関係者のお話を伺いながら、学生さんにグループで政策を考えさせ発表させる授業を中心に担当してきました。

 最初の頃はグループの中で真面目にやる人と他の人の努力に乗っかろうとする人がいて苦労しましたが、ゼミでは学期で4回発表する中で3回は各個人でパワーポイントの発表資料を作ってもらい良いものを授業中にプレゼンしてもらうようにしてからは、皆さん努力し、2回生の方が良い内容だったりして、3回生も刺激を受けてくれるようになりました。ゼミだけでなく政策系の科目で様々な社会問題にグループで話し合う授業は、うまく行く時には大変楽し気に議論して面白い提案をしてくれました。現在の学生さんは私の頃よりバイトで夜遅く働いている人も多く、就職が厳しい年も多かったですが、楽しく笑い合っている様子に私も何度も元気をもらいました。

 ゼミでは最初の頃は2次、3次募集から来た学生さんが多く、元気で個性的な学生さんがいました。2年目の女性のゼミ長さんは1、2年と遊んでいる中で私の社会保障政策の授業で79点という自分史上最高の点をもらったから参加したそうです。法学部ゼミ政策提言で入賞を逃し4位となった時に、悔し泣きをしていた姿を思い出します。彼女はアパレル系企業に就職しましたが職業人なのか、家庭人なのかわかりませんが現在も頑張ってくれていると思います。その後も政策系ゼミということもあり、毎年ゼミ政策提言に参加し、何度か入賞した時のゼミ生の誇らしい姿も思い出されます。

 コロナ前は、ゼミではコンパ、春学期の合宿、神山祭の出店、クリスマス会など課外活動もやりました。皆さん楽しい思い出になったようです。コンパで一度当時のゼミ長が飲み過ぎて終わってからも吐いているので救急車を呼んだら、一緒に警察官も来て猫なで声で「ところで君は何年生」と聞いたときには、彼は成人年齢でしたがぞっとしました。本人も症状が治まったので救急隊員には平謝りに謝って帰っていただき、タクシーで家まで送ったことも思い出されます。4回生ゼミの参加者は毎年数人でしたが、本人が希望すれば内定をもらった後食事を一回おごりました。その際、君らが出世したら俺をおごってくれよと冗談で言いましたが、大学に来て13年で十分出世しなかったか一度もおごってもらえませんでした。

 私も大学に来るまでの役所の30年間は、楽しい仕事もありましたが、長時間労働の上、パワハラという言葉がなかった昭和の時代だったので、上司や外部の関係者との調整・説明・交渉の過程で悔し涙を流したことも多々ありました。卒業生の皆さんも社会の中で様々な苦労をされるかもしれませんが、恋人・家族・友人など互いに大事に考えてくれる人と巡り合い、困難を乗り越えて、昔のように楽しく笑い合う時間をできるだけ多く持てることを祈っています。これからも頑張ってください。