京都産業大学同窓会

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学生も教員も元気な現代社会学部誕生

(※2022年9月発行の同窓会報の内容を転載しています)
伊藤 公雄 教授
現代社会学部教授 文化社会学、メデイア研究、ジェンダー論

 現代社会学部が出発したのは2017年。5年前のことだ。この春2期生が卒業というまだまだ新しい学部である。

 学部開設の2年ほど前、新学部設置準備室の外部メンバーにならないかとお誘いを受けた。設置準備室の会議では、これまで長い期間、大学で社会学を教えてきた立場から、いろいろ意見を言わせていただいていた。一つは、「卒業する段階で、社会学の基本的な知識を身につけてもらうとともに、社会を見る目を養って行けるようにしたい」ということだった。また「できるだけ現場に出て、問題発見と問題解決の力を身につけてもらおう」ということも提案させていただいた。その結果、一回生からのゼミ(それも社会学入門の講義の直後、少人数のゼミを復習も含めて行う)や、テーマに基づいて設置されるプロジェクト演習などのカリキュラムが作られた。学生たちの姿をみていると、この試みは成功したのではないかと思っている。

 とにかく学生も先生たちも元気の良い学部になった。どんどん地域に出ていくゼミもあるし、自前で映像作成やラジオ番組作りをする学生たちもいる。

 ぼくの担当ゼミも、学生の自発性を軸に組織しようとしてきた。最初から「共同研究での卒業制作」を前提に進める、ということにしている。ポピュラーカルチャーを対象に、5つか6つくらいのグループに分かれ、共同で調査し、その成果を論文集や雑誌の形でまとめるのだ。最初の年は、マンガ・アニメ研究やドラマの比較研究(30年ぶりにリメイクされた「東京ラブストーリー」の比較分析。ジェンダー観や労働をめぐる30年の日本社会の変化が浮かび上がってきた)、旅行雑誌研究やゲームの歴史的・社会的変遷の分析、日韓メイクの比較研究など多種多様だった。なかには、成果を中編コミックの形でまとめた学生もいた(読者に考えさせる形でストーリーを作り、LGBTQの問題をわかりやすく描いた。朝日新聞などでも取り上げられたので記憶にある人もいるかもしれない。一緒のグループでテレビの同性愛ドラマ分析をした学生の協力もあった)。

2020年2月 第1期のゼミ生のフィールドトリップで
滋賀県豊郷小学校訪問時の集合写真

 今年は、ジェンダー問題を視野に入れた迫力ある映像表現で卒業制作をおこなったグループもいた。鴨川デルタの研究(これもコメントが新聞に掲載された)やコロナ禍でのトレンドの変化、住宅の変遷や日韓アイドルの研究、女性雑誌の社会的機能や歴史の研究など興味深いものばかりだった。

 さて、今年はどんな成果物が出てくるか。ちょっと楽しみだ。