京都産業大学同窓会

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学部別

「ゼミ生と私」

(※2021年9月発行の同窓会報の内容を転載しています)
岩本 誠吾 教授
法学部教授 国際法(特に軍事・安全保障に関する国際法)・安全保障論

 2004年の着任から18年間勤務し、2022年3月に65歳で定年退職します。私のゼミは、軍事・安全保障というイカツイ研究課題にしては人気がありました。1学年15名で、大半は軍事知識のない学生ですが、中には、バリバリのミリオタ君が必ず2、3名いました。2005年度卒業の38期生から2020年度卒業の53期生までのゼミ生約250名が、相互啓発しながら勉強し巣立っていきました。
 ゼミは、課外授業も充実していて、コンパ以外にも3大行事がありました。①夏合宿、②自衛隊の体験入隊、③神山祭の模擬店です。
 先ず、産大生の特権としてお洒落な大学厚生施設「松の浦セミナーハウス」で1泊2日のゼミ合宿をしました。昼間の討論後に、夜はBBQ大会で、大量の買出し、慣れない火起こし、危なっかしい手料理と、役割分担しながらの微笑ましい共同作業でした。食後は、琵琶湖畔での花火、深夜までの本音トークと、教員と学生や学生同士の密の交流は、座学以上に刺激し合う機会であり、ゼミの一体感を作る切っ掛けでもありました。
 次に、賛否両論があるにせよ、批判する前に実態を知る、学生を非日常の環境の中で鍛える、そして、就職面接時の話題を作るという観点から、陸上自衛隊福知山駐屯地での体験入隊をしました。当初は2泊3日で、若干厳しい体験内容でした。ゼミ1期生は、2日目早朝4時に起床、足にマメをつくりながら市内行進、その後に姫髪山に登りました。ある女子学生は半ベソをかきながらの山登りでしたが、みんなで励まし合い全員無事に任務完遂した喜びは、格別でした。怖いもの見たさで体験入隊を希望したゼミ生は、自衛隊駐屯地に着くまで緊張していましたが、帰りのバスではもうお祭り騒ぎでした。就職面接での体験入隊の話も、強烈な印象を与えたようです。
 最後に、神山祭の模擬店は、企画立案、準備作業、当日の実施要領など、組織力を問う楽しくもあり真剣なイベントでした。ゼミ長やイベント担当は、人を動かす・人に動いてもらう苦労を知り、他のゼミ生も全体の中での自分の役割を考え行動する難しさを経験しました。ゼミ生は、成功や失敗をして、何事も「段取り9割」を実感したことでしょう。たかが模擬店、されど模擬店でした。
 今、振り返れば、ゼミは、学生の修練する場であるとともに、教員も成長する場であったと痛感し、ゼミを持てたことに感謝します。いつかゼミ生の成長した姿を見るのが楽しみです。みんな、気合い入れて頑張れ!

2004年の体験入隊(福知山、姫髪山にて)
2011年の神山祭(胡麻団子店)