京都産業大学同窓会

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産大愛は負けない

(※2021年9月発行の同窓会報の内容を転載しています)
吉澤 健吉 教授
文化学部教授 ジャーナリズム論、京都文化論

 京都産業大学が大好きである。産大愛に関しては誰にも負けないと思っている。
 京都産業大学に奉職して8年が経過した。在職30年、40年というベテランの先生方がいるなか、まだまだ新米教師だが、この年になっても若い学生たちに囲まれ、充実した日々を過ごすことができるのは京産大のおかげと、心から感謝している。
 そもそも東京生まれの私だが、哲学者の梅原猛先生にあこがれて京都が好きになり、京都新聞社に入社して40年間、記者生活や編集幹部を経験してきた。若い人に教えるのが好きで、在職中から京都大学、同志社大学、佛教大学などで教鞭をとってきた。定年退職後、2013年、ご縁があって京産大経営学部に奉職し、ジャーナリズム論を教え始めた。
 その直後、京都文化への関心の高まりを受け、文化学部に京都文化学科を新設することになり、記者時代の知見や人脈がかわれ、立ち上げから関わることになった。文化学部に移籍し、伝統文化の家元や老舗料亭の料理人など京都を代表する豪華ゲスト講師陣をそろえた科目を作るなど、全国唯一の学科の立ち上げに少しは貢献できたかと思う。
 新しい学科には、京都文化に興味を持つ多くの学生が全国から集まった。なかでも人気は、教員が学生を連れて京都の町に出かけ、本物の話を聞くフィールド演習。私は表千家の茶家での茶道体験や明治の名作庭家小川治兵衛の日本庭園の見学、祇園甲部での舞妓さんとの対話などに連れて行った。それぞれの教員が祇園祭のボランティアや能楽の舞台、お香の工場や工芸作家の工房の見学などバラエティーに富んだ演習を行い、学生たちは目を輝かせて喜んでくれた。フィールド演習は今でも京都文化学科の人気科目になっている。
 1年生の中には、第1志望の大学に落ちたので本学に来た学生もいたが、春のフィールド演習を経験したことで、「京産大に来てよかった」と認識を改めてくれたのがうれしかった。ゼミ生も希望者全員を受け入れ、1学年30人近い学生の面倒を見てきたが、京産大に奉職した際、教育に100%の力を注ごうと決めていたので受け入れた。
 ゼミ生たちは1年の時に作った名刺を手に、京都文化にかかわる取材先を訪れ、雑誌の特集面の形式で作品に仕上げた。なかには、就活の最終面接に自分の作品を持参し、社長に気に入られて内定を勝ち取った学生もいた。ゼミ生は2020年度の3期生まで、同窓会のOBの協力もえてほぼ全員内定を決めている。
 スポーツ応援を通じた学内の活性化にも陰ながら携わってきた。京産大には硬式野球、ラグビー、陸上から空手、バスケット、ボウリングにいたるまで、全国大会に出場する強い体育会系クラブがある。硬式野球部やラグビー部の練習場にはたまに激励に訪れているが、本番での神宮球場や花園ラグビー場のスタンドを埋め尽くした同窓生たちの層の厚さと熱い産大愛に驚くばかりである。

コロナ禍を乗り越え卒業式を迎えた吉澤ゼミ4年生(2021年3月20日)

 応援を支える全学応援団リーダー部、チアリーダー部、吹奏楽部の献身的な努力にも心を打たれる。体育館での練習に激励に訪れているが、試合本番に向けて、猛暑の中で練習を重ねる彼らの努力に少しでも報いようと、彼らの晴れ舞台である乱舞祭をはじめ12月の単独公演には毎年、授業で受講生たちに参加を促しているほか、会場に個人的にスタンド花を提供させてもらっている。  2020年度はあいにくコロナのパンデミックでクラブ・サークル活動が自粛され、彼らの出番が失われてしまったのが気の毒だったが、コロナ禍が収束した暁にはぜひ活動を再開し、京産大を盛り立てて欲しいと願うばかりである。