京都産業大学同窓会

恩師随想

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学部別

特別授業としての「青木塾」

(※2021年9月発行の同窓会報の内容を転載しています)
青木 淳 教授
情報理工学部教授 ソフトウェアの可視化・可聴化・可触化

 情報理工学部でプログラミング言語やソフトウェア工学を担当しております。それゆえでしょうか、私をプログラミング上手な教員と認める学生が多いようです。確かにプログラミングは好きであり、好きこそ物の上手なれですから、上手であり続けたいと願い、還暦を遠に過ぎた年齢になっても、日々のコードリーディングを怠らず、プログラミングの練習を積み重ねております。
 しかしながら、私が大学および大学院の時代に専攻したのは、コンピュータや情報の学域ではありません。化学です。それも物理化学であり、量子生物物理化学が専門になります。恩師の「青木くん、これからはコンピュータや…」の言ノ葉がきっかけで、コンピュータのソフトウェアを開発する会社に就職しました。
 ですから、コンピュータや情報に関する学びは、社会に出てから始めたのです。縁があって、チューリング賞(コンピュータや情報の分野のノーベル賞)を受けているアラン・ケイさんがグランドデザインしたSmalltalkというプログラミング言語環境に触れる機会に恵まれました。1984年のことです。この年がmy point of no return(もう引き返せない、このまま先に進むしかない、そんな時点)でした。

【青木ハンコ】
【青木似顔絵】

 Smalltalkに始まるオブジェクト指向をもっと学ぶため、リチャード・ストールマンさんたちが始めていたオープンソースに協力するため、アメリカ合衆国コロラド州ボゥルダー市に海外赴任しました。そこで多くのものを学びました。この頃から日本の国研を主体とする国家プロジェクトに関わるようになり、帰国すると、会社員でありながら、いくつかの大学で講義するようになりました。
 会社員から大学教員となったのは、50歳の2008年です。今年(2021年)でやっと13年目を迎えました。大学教員としてのキャリアは浅く、25年以上も企業で働いていたので、実務経験が豊富かもしれませんが…、きっと授業の講義方式も異なるのでしょう…、それを学生が敏感に察知して、夏休みや春休みに集中講義をしてほしいとリクエストしてきます。
 その要請に応えて、Smalltalk、C、Python、Java、JavaScript、Rubyなど、プログラミングに関する実践的な特別授業としての「青木塾」を開催し、そこに集った学生が折に触れて思い浮かびます。この「青木塾」は、いまやIT業界に内定した他学部の学生にも波及し、またIT業界ですでに働いている卒業生を含むようになりました。世界に出しても恥ずかしくないプログラムのしつらえまで教えています。
 対面でも遠隔でも「青木塾」に必ず援用する題材が、以下に示す「青木ハンコ」や「青木似顔絵」になります。おそらく、この「恩師随想」を読む方々の中に、あっ!コレは…と想い出す卒業生がいらっしゃるでしょう。