京都産業大学同窓会

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学部別

卒業生の皆さん、お元気ですか?

(※2018年9月発行の同窓会報の内容を転載しています)
野村 哲郎 教授
総合生命科学部 動物育種学

 卒業生の皆さん、総合生命科学部の野村哲郎です。私が本学に採用されたのは工学部生物工学科が発足したときですので、30年間にわたって本学で教壇に立たせていただいていることになります。このたび、同窓会から恩師随想の原稿執筆の依頼を受け、研究室の書架に並べてある20冊を超える卒業アルバムを開いてみました。アルバムのゼミ写真を見ていると、それぞれの時期のゼミ生との思い出や当時取り組んでいた研究課題などが頭に浮かんできました。また、学生の皆さんの服装や髪形に時の流れを感じるとともに、自分自身の風貌の変化にも少々愕然としております。
 本来は、卒業生の皆さんとの交流を紹介するべきかと思いますが、残念ながら私のゼミでは定期的な交流会のようなものが開催できていません。それでも、年賀状や結婚の報告が届いたり、たまに研究室を訪れてくれる教え子を見ると、たのもしく、またこちらも励まされる思いです。私のゼミの卒業生はすでに100名を超えています。卒業生の皆さんは、責任ある立場で仕事に励んでいる人、毎日あくせくと家事をこなしながらも充実した生活を送っている人など、それぞれの道で元気で過ごされていることと思います。ここでは、私の近況を報告させていただき、卒業生の皆さんに学生時代の思い出にしばし浸っていただくとともに、職場での昼食や家庭での夕食の話題の一つにでもしていただければと思います。
 私は動物の遺伝と品種改良について理論的な研究をしてきましたが、残りの研究生活では世の中の役に立つ成果を上げたいと思っています。その1つが盲導犬の品種改良です。現在、日本では約1000頭の盲導犬が活躍していますが、盲導犬の利用を希望する方は3000人を超えるといわれています。すべての希望者に盲導犬を利用していただくには、効率的に盲導犬を生産する技術が必要です。盲導犬にはラブラドールレトリーバーやゴールデンレトリーバーが利用されていますが、同じ品種の中でも盲導犬に適した犬と適さない犬がいます。これまでに取り組んできた品種改良の理論を応用して、効率的に盲導犬を生産する系統を作り出すことに、盲導犬協会の方々と取り組んでいます。このテーマは、在学生にも好評で、今年のゼミ生4人は全員が卒業研究の課題としています。

びわ湖バレイでの昆虫観察会

 もう1つの課題は、北海道のトマトのハウス栽培に利用できるマルハナバチの受粉系統を作り出すことです。誌面の都合で詳しいことは省略しますが、毎年、北海道東部の小さな町を訪れ、マルハナバチを採集して大学の飼育室で飼育しています。またゼミでは、びわ湖バレイや伊吹山で昆虫の生態観察や採集を行って、楽しいひとときを過ごしています。
 私事ですが、この5月で還暦を迎えました。体力の低下を感じ始めた数年前から、ランニングを始めました。走り始めたころに夢だった東京マラソンを3年前に3時間22分18秒で完走できました。60歳代で別大マラソンを完走することを新たな目標にして、早朝や帰宅後に練習しています。卒業生の皆さんにも、ランニングを趣味にされている方がいるかと思います。どこかの大会でお会いしたときは、ぜひ声を掛けてください。
 皆さん、これからも元気で行きましょう!