京都産業大学同窓会

恩師随想

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学部別

大切なこと……?

(※2018年9月発行の同窓会報の内容を転載しています)
新實 治男 教授
情報理工学部 情報工学

 情報理工学部は、今(平成30・2018)年4月に、それまでのコンピュータ理工学部を発展的に改組・改編する形で、新たに設置された、本学で一番新しい学部です。前身のコンピュータ理工学部が設置されたのが平成20・2008年の4月でしたので、ちょうど丸10年の節目にあたります。コンピュータ理工学部は3学科(CS・NM・IS)の構成でしたが、この新たな学部では、それらを一旦「解体」し、これからの時代に養成すべき人材像に適合するような「学び」ができるよう、10の履修コースを設けることにしました。詳細は、本学のWeb-siteなどをご覧戴くとして、組織としては単一学科となり、1学年の定員も25名増えて、160名となりました。前身のコンピュータ理工学部でカバーしてきた情報関連技術の各分野に加え、情報セキュリティや、ディジタル技術を活用した「新たなモノづくり」の分野を新たにカバーすることになりました。また、データサイエンスなどの分野の充実も図り、旧学部で取り組んできた教育・研究の内容を、より一層発展させ、これからの時代にマッチした内容に作り変えることができた、と考えています。

ファブスペース

 旧学部(コンピュータ理工学部、さらに、その前の工学部)の卒業生の方々も、その頃在籍していた教員が残っておりますので、お近くにおいでの節は、是非お立ち寄り戴き、新しくなった設備などをご覧戴きたいと思います。
 さて今回、私がこの欄の原稿を依頼されたのは、とりあえず新学部を『代表』する立場(学部長)にいるから、だと思っているので、上記のようなことを書いてきましたが、そもそものタイトル? 「大切なこと……? 」の方のことも、少し書かせて戴かないと、誌面が尽きてしまいますね。
 私の大学の恩師(その後の学位取得の際の指導教官でもある)は、残念ながら既に鬼籍に入られてしまいましたが、振り返って考えてみると、恩師の「言葉」で今でも憶えていること、というのは、講義中に聴いたことなどではなくて、それ以外の様々な(お茶やお酒の ?)機会に伺った「何気ない会話」の中でのことばかり、のように思います。
 ここ数年、本学では「授業アンケート」というものを実施しているのですが、それに記入してある受講生諸君らのコメントを読むと、「授業中に『関係のない話』が多い(ムダだ)」などと書いてあることがあります。当方としては、授業の本題(本筋)のことに関連があって、理解の助けになるだろう、と思って、いろいろな例え話や、「蘊蓄」めいた事柄を紹介しているつもりなのですが、どうも「通じて」いないようなのです。そういうコメントをいくつも(~いくつも? )読んでいると、それはそれで「心が折れ」かけたりするのですが、一方で、学生諸君らの「余裕の無さ ?」を心配する気持ちになったりもするのです。
 ある有名な映画評論家の方は「人生で大切なことはすべて映画から学んだ」と仰っていたように記憶しています。大学というところ(時期)は確かに学問をするところですが、同時に、いろいろな「種類(年齢・経歴など)」の人と出会い、様々な経験のできる環境でもあります。毎日を講義室の中だけで過ごし、さらにその中の「主題」に触れているだけでは、何とも勿体無いと思うのです。一見「関係がない」と思われるようなことにも、興味をもって、時には少し「のめり込ん」でみてもいいのではないでしょうか。そういう「余裕(アソビ)」を持ってもらえないかなぁ、と常々思っているところです。(逆に、「余裕」ばかり、というのも、困るのですが…。)
 実際、「大切なこと…… ?」は、そんな「寄り道」を彷徨っている時に、ふと見つかったりするものなのでは ??