京都産業大学同窓会

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学部別

「温厚篤実」

(※2018年9月発行の同窓会報の内容を転載しています)
高畠 淳子 教授
法学部 労働法・社会保障法

 本学で出会った学生や卒業生の方々を思い起こすと、まず頭に浮かぶ言葉である。これまでの教員生活の中で、ゼミ活動の折などには、仲間を思いやり、助け合う学生の姿をよく目にしたし、また卒業生の方々には幾度となくご尽力いただいてきた。

2018年6月11日社労士会総会にて
卒業生の先生方と

 筆者が卒業生の方々の温厚篤実なお人柄に触れることとなったのは、今から10年以上前のことである。当時、本学では、一拠点集中大学の利点を生かした学部融合カリキュラムの導入が進められていた。労働法・社会保障法を専門とする筆者は、労働法を中心とした法律学と人的資源管理論を主とする経営学を融合した「人事・労務プログラム」を担当することとなった。社会保険労務士(以下、「社労士」)の先生方をはじめ、人事の実務をよく知る方々に講義に参画いただければ大変充実するであろうと思案していたところ、本学OBである田中一弘先生をご紹介いただいた。田中先生は、「産大生の役に立ちたい」という熱い思いをお持ちの、まさに温厚篤実な方であった。田中先生が全面的にご協力くださったおかげで、実務家のリレー講義である「人事・労務の実務」と社労士事務所での実習を行う「人事・労務インターンシップ」をスタートさせることができた。これらの科目では、田中先生に加え、多くの卒業生の方々がゲスト講師やインターンシップの受け入れ事務所としてご参加くださっている。田中先生を筆頭とした卒業生の方々のお力添えがなければ、人事・労務プログラムの実施は画餅に帰したであろう。

2018年度ゼミ生と

 人事・労務プログラムで学んだ学生は、社労士や労働基準監督官を志望する者が多く、人材業界にも多数就職している。初期のゼミ生らは30代半ばを過ぎ、公私ともに多忙な時期となり、また活躍の場も全国に広げている。そうしたこともあり、最近の卒業生との交流はSNSによることが多くなった。結婚や子育てという学生時代とは異なる彼らの一面を知ることができ、大いに楽しませてもらっている。AIが台頭する時代には、コミュニケーション能力が高く、ホスピタリティのある人材が有利だといわれる。温厚篤実な本学の学生は、こうした社会で必要とされる能力を備えており、活躍の場をますます広げるであろうと期待している。法学部は長らく4号館を拠点としてきたが、再来年には、現在建設中の真理館(3号館・7号館)に移転する。卒業生の方々には、新法学部を見がてら、ぜひ本学に足を運んでもらいたい。