京都産業大学同窓会

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陸上にすべてをかけた大学生活が今も自分の糧になっています。

(※2023年9月発行の同窓会報の内容を転載しています)
安養寺 俊隆さん(1988年法学部卒業)
パナソニック女子陸上競技部 監督
1965年生まれ、鳥取県出身。大学時代は陸上競技部で長距離選手として活躍。3年生のときの病気がもとで大学卒業と同時に競技を引退、株式会社資生堂に一般就職したが、25歳で選手として復帰、1996年には3000m障害で日本選手権5位、国体4位に。その後、順天堂大大学院(博士前期課程)を修了し、資生堂ランニングクラブ監督を経て現職。

過酷な練習が心の持久力を培い、一生消えない友情を育んだ。

選手の心にスイッチを入れる
安養寺 俊隆さん

――実業団女子陸上部の監督になられた経緯や、仕事の上での哲学を教えてください。
 大学まで続けた陸上競技をやめて資生堂に入社したのですが、会社の運動会で目立ち過ぎてしまい(笑)、人事部長から声がかかり競技生活を再開。35歳で引退後に大学院でコーチング科学を勉強をして、同社で監督を務めることになりました。その後パナソニック女子陸上部の監督になり、創業100周年にあたる2018年には、女子駅伝大会の日本最高峰であるクイーンズ駅伝で連覇と完全優勝を達成することができました。
 スポーツ選手の育成は、選手の夢を叶えることでもありますが、見る人に力を与えることでもあります。育てたいのは、自分の価値を自分で高め、走ったことで人を感動させられる選手。一方で、「物を作る前に人を作る」という松下幸之助創業者の言葉を大切に、選手が社会人としてのスキルも身につけられるよう、人間形成にも力を入れています。
 指導信条は「サーバントリーダーシップ」。選手が「やらされ感」を抱くことがないよう、何ごとも自分で決めさせるようにしています。今思えば、資生堂で営業をしていた経験が生きているのかもしれません。営業担当として美容部員の女性と一緒に働く中で、まず聞く耳を持ち、相手の事情をわかった上で対話をすることで、相手の心にスイッチが入ることを実感していたのです。


陸上にすべてをかけた学生生活
安養寺 俊隆さん

――なぜ京都産業大学を選んだのですか?
 高校3年生のときには、全国高校駅伝で京都に行き、それを最後に引退するつもりでいたのですが、県予選にわずか12秒差で敗退。「都大路を走る」という夢が叶わなかったのが悔しくて悔しくて、陸上をやめられなくなってしまったんです。それで進学先として選んだのが、関西で最も長距離に強い京都産業大学でした。都大路への夢が叶わなかったことで、京都にこだわる気持ちもあったかもしれません。

――大学生活で印象的だったことは何ですか?
 とにかく生活のすべてを陸上にかけた大学生活でした。全日本大学駅伝で優勝することを第一の目標に、連覇を続けていた関西学生対校駅伝のタイトルを死守すること、個人ではインカレで活躍することを目指していました。

 3年生でキャプテンになった直後に心臓の病気を患い、それでも最後まで陸上を続けたのは、一番はやはりとにかく最後まで走り切りたかったからです。おかげで4年生のときには、個人では関西学生選手権の3000m障害で優勝し全日本インカレで8位、チームとしても関西学生駅伝で優勝、全日本大学駅伝で4位入賞し、思い残すことなく競技生活を終えることができました。
 練習は本当に辛くて、今考えても日本一走ったチームだったという自負があります。監督に「お前らは関東の選手に比べたら二流だから2倍練習しないと勝てない」と言われ、鍛錬期には週2回30kmを走っていました。そのうち1回は400mトラックで30kmを走るのです。75周ですよ!(笑)おかげで心の持久力も鍛えられました。練習メニューが当日まで明かされないので、1000m×10本を走ることもあれば、16kmで終わる日もあり、監督の心理を読んで予想をするうちに、心理的にもタフになったように思います。しかし、誰よりも情熱的だったのは監督。チームを強くしたいという熱い思いには、感謝の一言しかありません。
 また、同じ長距離のメンバーと4人同室で暮らした寮生活では、自然と先輩後輩との関わり方や礼節が身につきました。そして何より、部活の同期とは一生消えない友情を育むことができました。大学の4年間でできた友達は一番の宝。今でも東京近郊にいるメンバーとは年に1、2回集まっては馬鹿騒ぎをしています(笑)。


スポーツで人を幸せに
安養寺 俊隆さん

――最後に同窓生へのメッセージをお願いします。
 私が学生の頃は、京都産業大学の学生はとにかく元気だという印象がありました。就職活動中、30~40人が集まる会社説明会で、最後に「質問はありませんか」と言われて「ハイ!ハイ!」と手を挙げるのが全員京産大生だったことも(笑)。自分はそんな京都産業大学に元気とパワーをもらい、それが人生の糧にもなっているので、皆さんにもそういう元気を持ってもらえるといいな、と思います。
 また私自身は陸上が好きで、それをやり続けたことで今の人生があると思っています。学生の皆さんには、授業でも部活でも興味のあることで、心にスイッチを入れて挑戦してみてほしいですね。とくにスポーツは、先ほども言った通り、する人、見る人に幸せを与えます。

安養寺 俊隆さん

京産大のスポーツも、もっと強くなり、いろんな人の幸せのもとになってもらえたら嬉しいです。そういえば最近、学歌を歌えない選手も多いそうですが、学歌を聞き心を奮い立たせて頑張れた!歌って愛校心を持って頑張った!是非みんなも歌ってほしいですね。
 私自身も、京都産業大学の卒業生であることに誇りを持ち、自社からオリンピアンを出すことやクイーンズ駅伝の優勝など、目標に向かって努力することで、世の中を幸せにできればと思っています。